今回の講義は、1月25日(12日目)に受講した"マーケティング理論"の続きです。
ここ最近、寒さのせいでしょうか、風邪でお休みする人もチラホラと...。
しっかり栄養をとって、ゆっくり眠って、風邪に負けず頑張りましょう〜!
市場細分化 (マーケット・セグメテーション)
マーケティング戦略を策定するには、市場ターゲットを明確にする必要があります。
つまり、対象となる市場を決めるってこと。
市場の設定方法は大きくわけて3つあり、その市場に合わせてマーケティングの方法も変わってくるのです。
○ 市場全体を対象にする方法 「マス・マーケティング」
○ 細分化された市場を対象にする方法 「ターゲット・マーケティング」
○ 個別市場を対象にする方法 「ワン・トゥ・ワン・マーケティング」
市場全体を対象にしたマーケティングを行うことは、コストがかかることから大規模な企業以外は難しく、また必ずしも効率的とは言えないのが現状です。
そこで生まれたのが市場細分化の考え方です。
市場細分化とは
不特定多数の顧客を、マーケティングの戦略上、同質と考えても差し支えないと判断される小集団(市場セグメント)にブレークダウンすること。
具体的には、性別や職業、ライフスタイルなどの共通項で集団に分類し、その中の特定の集団に照準を合わせ、マーケティングの資源を集中投下させるのです。
つまり"ふるいにかけて選別し、必要な人だけ選び出そう"という、なんとも効率的な方法ですね。ですが、この"ふるい"のかけ方には注意が必要です。
[ 識別可能性 ]
細分化するための基準(変数)が、抽象的ではなく明確であること。
また測定可能であること。
[ 到達可能性 ]
細分化した市場とコミュニケーションが可能で、
マーケティング・ミックスを焦点化できること。
[ 市場規模 ]
細分化した市場のボリュームが推測でき、利益を創出できる可能性があること。
なるほどー。儲からないと思われる市場や、マーケティングが困難な市場をターゲットにするのはやめましょうってことね。
プッシュ戦略とプル戦略
さあ、市場ターゲットが決まったところで、マーケティング戦略の2つの特徴について見ていくことにしましょう。
[ プッシュ戦略 ]
メーカーから卸売り・小売りと経て製品が消費者へ到達する過程において、流れの上から下へ働きかける戦略のこと。
1. メーカーが卸売りに対して製品の説明. 販売方法の指導等をおこないます
2. これを受けた卸売りが、小売りに働きかけます
3. そして小売りが消費者に対して製品やブランドの優位性を説き、購買へ導くのです
[ プル戦略 ]
メーカーが消費者に対して直接的に働きかけ、購買意欲を喚起することによって、消費者にそのメーカーの製品やブランドを指名購買させる戦略のこと。
広告宣伝やパブリシティ、消費者に対する販売促進(サンプリングや実演販売)などが、これに含まれます。
小学生の頃からスポーツカーが好きで、車を買うならフェラーリってずっと心に決めているんです。フェラーリの営業マンに勧められたことは一度もないのですが、どうも惹かれるんですよね。これってフェラーリのプル戦略効果でしょうか?
でも免許のない私は、トミカのフェラーリを眺めているだけなんですけれどねっ。
新製品の普及理論
新製品が発売されると、"とにかく誰よりも早く手に入れたい人"、"ちょっと様子を見て買う人"、"じっくり慎重に吟味する人"と人それぞれ行動はさまざまです。
それを図に表すとこんな感じ。(ロジャースの新製品普及過程研究)
- 横軸は時間で、右に行くほど時間が経過していきます -
このように、消費者は購買時期により5グループに分類され、「革新的採用者」「初期少数採用者」「前期多数採用者」「後期多数採用者」「採用遅滞者」の順に製品は普及していくのです。
[ 革新的採用者 ]
冒険的な人々。社会システムの構成員から尊敬されてはいませんが、普及過程において重要な役割を果たしています。
[ 初期少数採用者 ]
他のどのカテゴリーよりもオピニオン・リーダーシップが高い人々。新しいアイデアを採用してそれに関する不確定性を減少させ、次にイノベーションに対する主観的評価を個人ネットワークを通して身近な仲間達に伝える役割を持っています。
[ 前期多数採用者 ]
慎重な人々で、仲間と相互作用をかなり行っていますが、めったにリーダーシップを持ちません。他の人が採用してから慎重にそのイノベーションを採用する、普及過程の中の重要な連結役です。
[ 後期多数採用者 ]
疑い深い人々で、イノベーションに対して懐疑的で、用心深く接近し、社会システムの大多数が採用するまで採用しません。
[ 採用遅滞者 ]
伝統的な人々で、ある社会システム内でイノベーションを最後に採用する人々。イノベーションやチェンジ・エージェントに対してとても懐疑的であり、また伝統的であることが、イノベーションの決定過程の進行を遅くしてしまうのです。
競争地位別によるマーケティング戦略
ここまでは、市場(ターゲット選び)に視点を置いてきましたが、次は企業に視点を置いてみましょう。
企業の、市場における競争地位によって、採用すべきマーケティング戦略は変わってきます。その対応戦略を表したのが下の図。
自動車業界で考えてみるとー
リーダー企業である"トヨタ"は最大シェアを目指して、フルラインナップで製品を発売しています。まさに、リーダー企業の戦略ですよね。
もしも、リーダー企業"トヨタ"と、手作り車でマニアの支持を集めているの"ミツオカ"が同じマーケティング戦略を立てたとするとどうでしょう?
んんっ ......。
やっぱり、企業の持ち味を生かした戦略が大切なんですね。
マーケティング・リサーチ
マーケティングの手法として、マーケティング・リサーチをする場合があります。
マーケティング・リサーチとは市場を調査することが目的ではなく、あくまでもマーケティング問題解決のための情報を系統的に収集・分析し、意思決定に貢献するものでなければならないのです。
リサーチの方法を分類すると、大きくわけて「ソフト型調査」と「ハード型調査」の2タイプに識別されます。
ソフト型調査 (定性的リサーチ)
リサーチ対象の複雑性や多様性を尊重し、その構造や特性の理解深める目的で使用します。仮説などの先入観にとらわれず調査に入り、対象者と非定型的で柔軟なコミュニケーションを図りながら経験的データを収集することによって、仮説を構築しようとするものです。
若い女性に全然車が売れない...。若い女性はいったいどういった消費行動や趣味・志向を持っているんだろう?そんな時には、ソフト型リサーチが有効かもしれません。
ハード型調査 (定量的リサーチ)
特定の仮説を検証することを目的に、定型化された計画に基づきリサーチを進めていきます。仮説を検証するために、標本抽出計画(11日目(1月24日)の講義で習った無作為抽出)に従って抽出された相当程度の標本と定型化された質問票が用意され、調査や実験をおこなうのです。
"20代の女性は、新しい車を求めているはず"という仮説をもとに商品開発を進めようとした場合、本当に20代の女性は車を欲しがっているのか?どのようなニーズを持っているのか?を知るためには、ハード型リサーチが有効かもしれません。
イノベーションのジレンマ
マーケティング戦略が成功し、消費者のニーズに合った製品を市場に送り出して大成功!
ここで安心してはいけません。
そこには"イノベーションのジレンマ"という恐ろしいものが待ち受けているからです。

右の図のグリーンの帯が市場のニーズです。
例えばA社は20代女性のニーズに合ったワゴン車で、成功したと仮定します。するとA社は、更なる製品開発で、ワゴン車の性能をアップさせるよう努力します。ところが、20代女性の間に環境問題の関心が高まり、B社のエコ車へとニーズがシフトしていくのです。そうなると、いくらA社が高性能なワゴン車を開発しても、もう市場ニーズとの差は広がる一方。
この現象を"破壊的イノベーション"と言い、各社はイノベーションのジレンマと日々戦っているのです。
移り気な若い女性をターゲットにすると、とっても大変でしょうね〜。